障害年金の申請を考えているが、何から手をつけていいのか。現在の状態は障害年金の対象になるのか。医師への依頼・相談はどうしたらいいのか。お気軽にご相談ください。
次のような方は、障害年金の専門家である社会保険労務士に相談なさることが適切です
家族・知人に障害で困っている人がいる
年金事務所で説明を受けたがよく理解できなかった
現在の症状で申請できるのか専門家に聞いてみたい
数年前に申請したが不支給の決定であった(書類に不備があった)
病歴就労状況申立書の記載方法が難しい
初診の病院が廃業していて初診日の証明が取れない
初診日が10年前のためカルテが破棄されている
いくつかの病名があり障害の原因となる病名がはっきりしない
医師に日常生活での困難さを伝えていない(伝える方法がわからない)
医師が診断書作成に乗り気でない
精神疾患・知的障害・発達障害の方
子供の頃からの病気や先天性疾患の方
特定疾患・難病で困っている方
障害年金のQ&A
1.障害年金とは
年金という言葉を聞くと、65歳からもらえる老齢年金を思い浮かべる方が多いようです。
国民年金・厚生年金・共済組合などの公的年金制度から支給される年金の一つに「障害年金」があります。この制度について、大まかな内容・金額・手続きなどをご説明します。
まず、年金制度の全体をお話ししましょう。公的年金制度から支給される年金は3つあります。老齢年金・遺族年金・そして障害年金です。
老齢年金は原則として65歳から支給されるもので、日常会話のなかで年金といえば、この老齢年金を指す場合が多いようです。つぎに、一家を支えて働いていた方が亡くなった場合に、遺族の生活をカバーするものが遺族年金です。そして、病気やけがで障害を負い、労働や日常生活が困難である人に支給されるのが、障害年金です。
老齢年金は原則65歳以上の方が対象となりますが、障害年金は現役世代の病気やけがに備えた制度ですので、20歳以上の方が対象となります。
2.障害年金の種類
年金制度は国民年金・厚生年金・共済年金の3つありますので、障害の原因となった病気・けがで初めて医師の診察を受けたときに加入していた年金制度に対して請求します。
そして、国が定める障害等級基準に該当すると、国民年金に加入していた方は国民年金から障害基礎年金が支給されます。厚生年金からは障害厚生年金と障害基礎年金の両方が支給されます。
共済年金は厚生年金と同様です。
障害等級基準は障害が重いほうから1級・2級・3級と区分されています。
なお、この等級は身体障害者手帳の等級とは、障害の部位により相応の関連性を有していることもありますが、異なることもあります。
一つの目安にはなりますが、同一基準ではありません。基本的には別基準と位置付けています。
3.制度による違い
①.障害基礎年金
初診日に国民年金に加入していた方が対象です。
例えば、自営業者・主婦・学生などがあげられます。先天性の病気や子供の頃に発病した場合にも適用されるケースがあります。
障害等級は1級・2級の2ランクで3級はありません。対象外です。
障害年金受給者に18歳未満の子供がいる場合は加算があります。家族手当のイメージです。手続きは市町村または年金事務所です。
②.障害厚生年金
初診日に厚生年金に加入していた方が対象です。
例えば、民間企業のサラリーマンやOLさんが主な対象です。障害等級は1級から3級まであります。
また、3級よりも軽い障害に対して一時金として障害手当金が支給されます。
2級以上の障害年金に配偶者対象に加算があります。手続きは年金事務所が窓口です。
③.障害共済年金
初診日に共済年金に加入していた方が対象です。例えば、公務員が主な対象です。
障害障害等級は1級から3級までで、概ね障害厚生年金と同様の仕組みです。
厚生年金と共済年金は平成27年10月に一元化されましたので、初診日が一元化以降であれば年金事務所で手続きします。
4.どんな傷病が対象となるのか
障害年金の対象となる傷病は基本的には肢体・内臓・精神・知的障害など、どのような傷病も対象です。
ただし、神経症に属する病気は原則対象外とされています。
パニック障害・適応障害・解離性障害・多重人格障害などが神経症ですが、これらの病気が精神病の病態を示している場合には認められる場合もあります。
この辺りは、ケースバイケースとなります。
5.障害認定基準
障害とは肢体障害のように外観からそれとわかるものから、心疾患・糖尿病・がんなど外観からはわかりにくい内部障害、精神病・知的障害など精神障害があり、症状・部位・種類も様々で、画一的基準を設けることは困難です。
そのため、国は障害認定基準を定め、部位・程度に応じて運用判断しています。
要するに、障害の部位・状態・継続期間など様々の事項を総合的に考慮したうえで決定されています。
この基準を満たさない場合であっても障害等級に該当すると判断されることもあり、また一部の傷病については、日常生活や仕事に困難がなくても受給できる場合があります。
似たような事案でも判定結果に差異が生ずることがあるのが現状です。
各等級の大まかな目安は以下のとおりです。
このうち、労働・仕事は就職していると障害年金の対象外になるわけではありません。
就労実態や傷病種類により異なりますので、就職しているから貰えない、と即断することは適切ではありません。
6.障害年金の金額
障害年金の種類により年金額は違います。
①.障害基礎年金
1級で年間98万円、2級で78万円、子の加算は一人につき22万円
②.障害厚生年金・障害共済年金
厚生年金は加入中の平均給与や賞与および加入期間により個別に計算されますので、障害基礎年金のように一律ではありません。
厚生年金に加入していた方は国民年金にも加入していますので、両方から年金がでます。
平均給与が20万円で、配偶者と子供が3人で概算計算すると、1級156万円、2級124万円、3級59万円程度です。
7.障害年金の受給期間
障害年金は障害状態に該当している間は、ずーと貰えます。
状態が軽くなった場合は貰えません。
また65歳からは老齢年金が貰えるようになりますので、その場合はどちらか多い方を選択します。両方貰うことはできません。
8.障害を認定する時期
障害を認定する日は以下のいずれかです。
①.原則として初診日から1年6か月を経過した日。
ただし、1年6か月以内でも症状が固定し、治療の効果が期待できない状態になった日。また、特例がいくつかあります。
- 人工透析を開始して3か月を経過した日
- 人工関節を挿入置換した日
- 手足を切断・離断した場合はその日
- 脳血管疾患で初診日から6か月以内の症状固定日 など
②.事後重症による請求日
上記の認定日時点では障害状態が軽くて、認定基準に該当しなかった場合に、その後に障害状態が重くなり、基準に該当するに至った日。
ただし65歳未満であること。
9.保険料納付要件
障害年金を貰うための条件に保険料納付要件があります。
これは、加入した期間中に保険料を払ったかどうかをみるものです。初診日の前日までの期間において、3分の2以上の期間が保険料を納付・免除されているか、または、直近1年間に未納がないか、です。
特に国民年金は個人納付のため、加入しているが未納である場合も多いようですので、しっかりと確認する必要があります。
年金制度は保険制度ですので、保険に加入して、保険料を払った方に、保険事故が生じた時に保険金が出るものです。
初診日以降に年金制度に加入しても障害年金は貰えません。
10.20歳前に初診日がある場合の特例
先天性の疾患、子供の時に発症した傷病、など20歳前に初診日がある病気に因る障害は保険料納付要件(上記9)は問われません。
障害を認定する時期は原則として20歳到達時点です。
請求の手続き
障害年金を請求するには、いろんな書類を作成用意しなければなりません。
障害年金裁定請求書・戸籍謄本・受診状況等証明書・診断書・病歴就労状況申立書などがあります。
これらの内容を書類審査して支給可否が決定されます。請求人との面談などはありません。
審査の過程で、追加書類提出や内容照会がくることがあります。
これらの書類で重要なものは、診断書と病歴就労状況申立書です。
診断書は主治医が作成しますが、病気の医学的診断書ではなく、病気による障害状態に関する診断書であることが重要です。
また病歴就労状況申立書は請求者が作成するもので、初診日から請求時点までの病状や障害状況を5年ごとに区切り作成するものです。
そして、この二つの内容に整合性が保たれていることがポイントです。
本人の自覚症状と医師の見立てが一致していなければ、受給につながることが難しくなります。
一般的に医師は多忙で、患者一人当たりの診察時間は2~3分程度であることが多いようです。
そのため、病状はもちろんですが、日常生活・就労における支障・困難・自分ではできないこと・他人の介助を受けていることなどが、うまく医師に伝わっていないことが殆どではないでしょうか。
口頭で伝えることが時間的に困難ですので、書面で伝えるようにすると良いようです。記録性もありカルテの補完材料になり効果的です。
いろんな書類を用意し、医師への診断書依頼など、請求者自身で請求手続きができる場合もありますが、障害年金請求代行のプロとして経験豊富な社会保険労務士に委任することも適切な方法です。
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